スーダン紛争激化で武器としての性暴力が横行

スーダンの風景

紛争が続くスーダンの首都ハルツームで、武装勢力からの暴行により妊娠した女性たちが緊急避妊・中絶をできない状態に立たされています。

ハルツームをはじめとしたスーダン国内の各都市には国連が提供する緊急避妊薬やHIV感染予防薬を保管する倉庫があります。これらの薬は事後72時間以内に摂取する必要がありますが、多くの女性が紛争によって倉庫まで行くことができません。そのためSNSでの情報や、薬草を使った旧来の民間医療に頼っているのが現状です。

元々軍国主義であったスーダンは2019年に当時の大統領が国防軍のクーデターにより失脚して以降、国防軍と武装集団の勢力争いが続いています。今年4月中旬には大規模な紛争が始まり、6月中旬の時点で死者数2,000人以上、難民数約528,00人が発表されています。

紛争地帯で性暴力は武器として用いられます。至るところで武装集団による女性や少女の強姦が起こっていると、スーダン政府の担当官はThe Guardian 紙の取材に答えています。記事によると先月だけでも5,000セットもの避妊薬が国連から提供されたものの、紛争の中心地域には行き渡っていないとのこと。

ハルツームで性暴力被害者のケアに当たる女性は「一部の恵まれた人しか避妊薬を手にできない」と述べています。被害に遭った女性の多くは非公式の情報や手段に頼るほかありません。複数の相手から被害を受けても診療を受けられず、自分が妊娠しているかどうかもわからない人もいるといいます。

スーダンは法律によって中絶を禁止しているため、国連からの提供以外で避妊薬を手に入れることは極めて難しいといえます。外国へわたり避妊薬を密輸する女性も出てきているようです。密輸の刑罰は禁錮10年。それでも必要に駆られる現状があります。

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