タイのメディア王として知られるトランスジェンダー女性が、ミス・ユニバース・オーガニゼーション（Miss Universe Organization）を2000万ドルで買収しました。同組織は71年の歴史がある「ミス・ユニバース」を主催、女性が所有者となるのは初めてのことです。
新たな運営会社となるのは、アン・ジャカポン・ジャクラジュタティップ（Jakapong “Anne” Jakrajutatip）氏がCEOを務める JKNグローバル・グループ（JKN Global Group）。ドラマやニュースなどのコンテンツを制作するほか、ハリウッドやボリウッドなどの海外ドラマをタイ国内で配給する巨大メディア企業です。
ジャクラジュタティップ氏は自身もテレビ番組に出演する国民的スターであり、タイのLGBTQコミュニティを代表する人物でもあります。トランスジェンダー女性として自身の経験を積極的に語るほか、身体と心の性が一致しない人たちのための権利団体を設立。今年初頭には、男子校でいじめを受けてきた経験を地元新聞紙のインタビューで明らかにしています。
タイはジェンダーに関し寛容な国という国際的な印象があります。しかし、タイ国内での性的マイノリティに関する社会的認知や法律は現状に追いついていません。公的な身分証明書に生まれた時の性別しか記されないため、トランスジェンダーの人々は医療、教育、就職の自由が制限されています。
歴史的快挙ともいえる買収について、ジャクラジュタティップ氏はアジア圏内での事業拡大を視野に入れていると述べています。今後の展開に目が離せません。