米国の中絶禁止拡大 女性の尊厳か胎児の命か

中絶禁止法

米国ウェストヴァージニア州議会が27日、中絶を禁止する法案を可決しました。これに伴い、審議にあたっての公聴会に出席した地元女性(12歳)が共和党議員に対し訴えた内容が、インターネット上で拡散されています。

発言をしたのはウェストバージニア州のミドルスクール(日本の中学校に当たる)に通う12歳の Addison Gardner。

「もし私が物として扱われ、言葉にもできないような行為をされたとします。そうしたら、子供の私が子供を産むことになるんでしょうか。妊娠という身体的なトラウマに苦しみ、自分の身体がそんな目にあっても何も言えないんだという意識に苦しまなくてはいけないんでしょうか。生命尊重(pro-life=中絶反対派のこと)という人もいますが、私の生命は?私の命はどうだっていいんでしょうか?」(拙訳)

公聴会では Gardner からだけではなく、他の中絶賛成派からも法案を批判する声が挙がりましたが、69対23という圧倒的な賛成多数で法案は可決。このスピーチを受け、議会では暴行(近親間含む)による妊娠の場合は中絶を認めるという修正案を採択します。

ただし投票結果は 46対43 という僅差であるに加え、中絶が認められるのは妊娠14週目まで、且つ暴行が警察に届出された場合に限るという条件付きです。

米国では昨年テキサス州で中絶をほぼ全面的に禁止する法案が可決されて以降、中絶反対の勢いが暴力的なまでに加速しています。暴行を受ける相手は赤の他人とは限らず、知人や家族である場合もあります。そういった人たちにとって警察への届出は社会的自殺になり得ないでしょうか。決定権が与えられていない子供の場合は。女性の身体は物ではないということが無視されているように、私は感じます。

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