今週月曜日、ガンビアでFGM(Female Genital Mutilation:女性器切除)の禁止令を撤廃する法案が話し合われた。投票の結果は42対4の賛成多数となり、今後3か月以上に渡り法案の審理が行われるという。
ガンビアはアフリカ東部に位置する小国である。同国では2015年にFGMが法律で禁止されており、違反者には罰金か最長3年の禁固刑が科せられることになっている。FGMは現在世界92カ国で禁止されており、法案が施行されれば、ガンビアは禁止を撤廃する世界初の国となる。
撤廃を立案した議員は「この法案は宗教的忠誠、文化的規範および価値を守るためのものだ」と言い、FGMを禁止することは文化・宗教的活動を行う国民の権利の侵害だと主張している。ガンビアは国民の大半をイスラム教徒が占めている。
FGMとは女性器の一部または全部を切除すること、および損傷を加える行為である。大量の出血、感染症のリスク、排泄・生理・性交時の激しい痛み、出産困難あるいは死産、手術中のショック死などの危険を伴う。医学的根拠、健康的利点、宗教的根拠はない。
UNICEFが2021年に行った調査によると、ガンビアに住む15歳から49歳の女性のうち76%がFGMを受けている。国連ガンビア支局はFGMを「少女と女性の人権を犯す有害な慣行」として非難している。
近年FGMは世界的に増加傾向にある。UNICEFが今月発表した最新統計によると、過去8年間でFGMを受けた少女あるいは女性の数は世界全体で2億人から2億3千万人に増えた。このうち6割がアフリカ、3割がアジアで発生している。FGMは低年齢化しており、早い場合は2歳の幼児に切除が行われることもあるという。子供が成長してFGMに精神的・身体的な恐怖を感じるのを防ぐためだ。
国が禁止を撤廃することは、女性に対する暴力を公に認めることである。他国へ影響を与える恐れのほか、同様の動きが児童婚などその他の差別的慣行にも拡大する可能性もある。一国だけの問題ではない。