幸せな関係は円満な別れから ニュージーランド政府の試み

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人生の3つの苦しみは、親しい人との死別、引っ越し、失恋といいます。いずれも辛いものですが、中でも失恋は生身の相手がいる分、悲しみだけではなく苛立ちや未練など様々な負の感情に苦しむことになります。

こうした失恋の苦しみから青少年が立ち直れるよう支援する試みとして、ニュージーランド政府は「Love Better」キャンペーンを立ち上げました。ショートメールや電話で悩みを相談できるヘルプラインを設けるほか、一般人が自撮りで失恋について話す動画を共有するなどして、当事者たちの「リアルな」コミュニティの形成を目指しています。

2022年にニュージーランド政府が16歳から24歳の男女を対象に行った調査によると、8割近くがなんらかの交際経験があるとされています。うち87%は失恋による苦しみを重く感じており、55%は相手を傷つけずに別れる自信がないとの答え。失恋で受ける傷の多くは精神的なものですが、6人にひとりは交際相手と別れるにあたり身体的な暴力を経験していたことが明らかになりました。

のどかなイメージがあるニュージーランドですが、先進国の中ではドメスティック・バイオレンス(DV)の発生率が最も高い国のひとつに数えられます。2018年から2019年の政府統計によると、成人の30%近くが配偶者あるいは交際相手からの暴力、または性暴力を経験しており、女性が被害を受ける確率は男性と比べて3倍高くなっています。

ニュージーランド政府の「Love Better」キャンペーンは、国家的に蔓延するドメスティック・バイオレンスを抑止する長期的な取り組みでもあります。別れに伴う負の感情を消化することは、将来より良い関係を築くための第一歩に他なりません。

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