ジョニー・デップDV裁判にみるミソジニー – 女性が黙殺される社会

フェミニズム・ナウ
mohamed HassanによるPixabayからの画像

英語に misogyny(ミソジニー)という言葉があります。女性に対する嫌悪、憎悪、偏見を指し、言葉の起源は17世紀に遡ります。

今年4月「パイレーツオブカリビアン」などで知られるハリウッド俳優のジョニー・デップが、元妻であり女優のアンバー・ハードを名誉毀損の罪で提訴。6週間越しの法廷闘争を経て6月に勝訴しました。

デップが名誉を毀損されたとするのは、ハードがDVの被害者であることを公表したワシントンポスト紙のコラム。デップのDVについては過去にもザ・サン紙が報道しており、2020年に同紙を相手取った裁判でデップは敗訴しています。ワシントンポスト紙のコラムには、デップの名前は言及されていません。

裁判の結果がもたらしたのは、被害者であるハードの社会的な抹殺でした。数々の暴力被害があったにもかかわらず、証言が認められなかったことによる社会的信頼の失墜。「嘘つき」「サイコパス」といったメディアからの人格否定。ハッキングによるヌード写真のネット流出。SNSによる一般単位での誹謗中傷。

声を上げた女性が袋叩きにされるという構図は、ミソジニーを利用した典型だといえます。今回は、世界的に知名度が高く絶大な影響力を持っている人物が加害者とされたこと、また、証言された内容の異常性から、被害者への当たりは非常に強いものでした。ミソジニーの根底には、女性は嘘をつくという意識があります。

今月に入って、デップのインスタグラムに異変が起きたことで事件は再びメディアの話題になります。裁判の勝利を報告する過去の投稿につけられた「Like」の大規模な取り消しです。発端は、デップを援護するファンが募ったクラウドファンディングにより法廷資料が開示されたこと。それまで明らかにされていなかった事実を受け、SNS上で大々的な「デップ離れ」が始まったのです。

加害者は被害者の証言を信じず、訴えを否定して黙らせようとします。それでも被害者が黙らなければ、加害者は周囲を取り込み被害者を孤立させます。公共の場で羞恥に晒され、社会的地位を失い、精神を極限的なまでに疲弊させなければ、女性は正義を貫くことが許されないのでしょうか。

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