ミソジニー、セクハラ、家父長制…気になる言葉の定義集

このページはミソジニー、セクハラ、家父長制などといった、女性関係の話題で使われる言葉を解説するページです。言葉は追加することがあります。

Child Marriage(児童婚)

18歳以下の未成年と成人、あるいは未成年同士が公式ないし非公式に婚姻を結ぶこと。2023年の統計では世界で5人に1人が児童婚をしている。内訳は地域別に南アジア(45%)、サハラ以南アフリカ(20%)、東アジア・太平洋(15%)。国連は2030年までに児童婚をなくすことを目指している。

関連用語 Forced marriage(強制結婚)、Early marriage(早婚)

関連記事:世界から児童婚がなくなるまであと300年 国連予測

Femicide(フェミサイド)

性差に基づく殺人のこと。女性が被害者となる場合が多いことから、日本語では「女性嫌悪殺人」と表されることがある。フェミサイドに含まれる行為は以下のようなものがある。

  • 女児殺害
  • 女児の堕胎
  • FGM(女性器切除)による死
  • 交際相手ないし配偶者からの暴力
  • 名誉殺人
  • ダウリー(持参金)に関する殺人
  • 紛争地帯による少女と女性の強姦・殺害

関連記事:フェミサイド(Femicide)とは何か

FGM: Female Genital Mutilation(女性器切除)

女性器の一部または全部を切除すること、および損傷を加える行為を指す。内容によって以下の4種類に区別される。

  • タイプ1 陰核または / およびその外皮の部分的あるいは全体切除
  • タイプ2 陰核と小陰唇の部分的あるいは全体切除。大陰唇の切除を伴う場合がある
  • タイプ3 縫合あるいは大 / 小陰唇の切除と縫い付けによる膣の縮小。陰核の切除を伴う場合がある
  • タイプ4 その他、医学的目的ではない女性器への有害行為

FGMはその残虐性にも関わらず、現在も世界の至る所で行われている。

関連記事:FGM シエラ・レオネの通過儀礼から逃れた女性の話

Gender-Based Violence(ジェンダーに基づく暴力)

性差に基づく暴力のこと。ここでいう性差とは、個々人の生物学的な性、自認する性、および男性・女性らしさの社会的規範に対する考えを指している。身体的、心理的、性的な暴力のほか、脅迫、強制、恣意的な自由ないし経済力の剥奪といった精神的な暴力が含まれる。

ジェンダーに基づく暴力は社会の構造的格差を根本原因としており、感情的、身体的、経済的、年齢的な権力と支配力を悪用する行為である。

関連記事:パキスタンのボディビル 薬物乱用と性的搾取

Honour Killing(名誉殺人)

家族の名誉を傷つける行為をした者を家族間で殺害すること。婚前交渉など伝統的価値観に反する行動をした、あるいは性的暴力の被害を受けた女性が対象となることが多い。殺害を実行するのは女性の夫、父親、兄といった男性家族である。国連が2000年に行った統計によると、毎年世界で5,000人以上の女性が名誉殺人の犠牲になっているとされる。

関連記事:名誉殺人の歴史と現在

Misogyny(ミソジニー)

女性に対する嫌悪、憎悪、偏見を指す。言葉の起源は17世紀に遡り、ギリシャ語で憎悪(hatred)を意味する「misos」と女性(women)を意味する「gunē 」を語源としている。日本語では「女性嫌悪」と書かれることがあるが、カタカナの「ミソジニー」も一般的になりつつある。

ミソジニーは単なる個人の意見ではなく、人々の考え方や行動の仕方に深く影響を及ぼす社会構造である。性的暴力の被害にあった女性が部外者から非難・侮辱されることがよくあるが、これはミソジニーが及ぼす典型的な女性蔑視の例である。

関連記事:ジョニー・デップDV裁判にみるミソジニー – 女性が黙殺される社会

Patriarchy(家父長制、男性支配)

「Patriarchy」そのものは家父長制を意味する言葉であり、理論的には体系的かつ制度化された男性支配あるいは男性優位主義を指す。男性支配は時代や文化に応じ様々な形で現れるが、共通するのは男性は女性より優れているという考えである。そのような考えのもとでは、女性は不完全で従属的な存在であり、従って男性が支配と意思決定の権利を持つとみなされる。

男性支配は、文化、政治、経済、社会構造、イデオロギーに組み込まれ、またそれらによって持続されている。

関連用語 Male dominance(男性優位)、Male supremacy(男性支配)

関連記事:南米ペルーのヘアウィッグ村 男性優位社会と女性の自立

Rape Culture(レイプカルチャー)

社会やコミュニティにおいて性的な攻撃性が正当化され、性的暴力の深刻さが矮小化されること。日本語の定訳はまだない。性的暴力を容認する社会的態度とも言える。

映画などの創作物で女性の性被害が添え物的に描かれるのは、まさにレイプカルチャーの現れである。

関連記事:ボリビア「ラテンアメリカで最も性犯罪に甘い」理由

Sexual Assault(性的暴力)

受け手が望まない性的な行動で、主に身体的なものを指す。相手を不快にするだけではなく、脅迫したり、恐怖を与えるものとして、強姦、性的行為の強制、児童の性的搾取、及び児童を強制的に性的行動に従事させることを含む。

関連用語 Sexual violence(性的暴力)、Sexual misconduct(性的違法行為)、Sexual abuse(性的虐待)、Sexual exploitation(性的搾取)

関連記事:パキスタン 2時間にひとり児童が性犯罪に遭う国

Sexual Harassment(セクハラ、性的嫌がらせ)

受け手を不快にさせる、性的な事柄に関する言動をすること。国連は性的嫌がらせの具体例として以下のようなものを列挙している。

  • 性的暴行(未遂を含む)
  • 受け手が望まない性的な要求
  • 受け手が望まない身体への意図的な接触
  • 受け手が望まない性的な視線や素振り
  • 他人の身体に関する性的な言及
  • 性的嗜好や性的経験の質問

ある行為を性的嫌がらせとする判断基準は、受け手がその行為を望んでいるか否かにある。性的嫌がらせは性的暴力やジェンダーに基づく暴力と同様、女性だけではなく男性も対象となり得る。

関連記事:イギリス 女性医師へのセクハラが止まらない

タイトルとURLをコピーしました