パキスタンの名誉殺人 偽写真で父親が娘を銃殺

パキスタンで18歳の娘を銃殺した罪で実の父親が逮捕されました。娘が男性と抱き合っている写真がSNS上で拡散されたことが殺害の理由です。なお、殺害の計画に関わったとして父親の兄弟と従兄弟2人も逮捕されています。

警察によると、写真は別人の写真をもとに加工されたもので、偽のアカウントを使って投稿されていたとのこと。

事件が起こったのはパキスタンの首都イスラマバードから350kmの距離にあるコヒスタンという山岳地帯。コヒスタンには地域の伝統を取り仕切る部族会なるものが存在し、伝統的価値観にそぐわないと見なされた女性を処刑するしきたりがあります。2012年、同地域の女性5人が結婚式で歌を歌い拍手をする様子が撮影され、部族会の判断によってこのうち少なくとも3人が殺されました。

このような殺人行為を英語でHonour Killing、名誉殺人といいます。女性によくない疑いがかかると親類の名誉が傷つくと考え、一家の名誉を守るために父親や夫などの男性が女性を殺すことです。もし結婚していない女性と男性が関わりを持った場合、まず殺されるのは女性です。

名誉殺人が起きる理由はさまざまです。最も多いのは婚前交渉をした、家族の取り決めた結婚に従わない、性的暴行を受けたなど。それ以外にも、伝統的な価値観にそぐわない言動をしたという理由で殺されることもあります。

国連の推定によると、世界で毎年5,000人もの女性が名誉殺人の犠牲になっているといいます。パキスタンでは昨年384件の名誉殺人が報告されており、うち100件以上がコヒスタンを含むカイバル・パクトゥンクワ州で発生しているとのこと。

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