世界から児童婚がなくなるまであと300年 国連予測

児童婚という慣習があります。英語では child marriage といい、18歳未満の子どもと大人、もしくは子ども同士で婚姻を結ぶことを指します。多くの場合は女児と成人男性の結婚で、現在およそ6億4千万人の女性が18歳を迎える前に結婚していると国連は発表しています。

未成熟なうちに親元から離されることによる社会的孤立、教育を受ける機会の喪失、性交と妊娠・出産による心身への負担など、児童婚は女性の人生に深刻な影響を与えます。家庭内暴力とも無縁ではありません。児童婚は社会全体の発展にも関わる問題といえます。

国連が今年5月に発表した報告によると、児童婚の発生率は過去10年で23%から19%に下がっています。しかし減り幅は小さく、このままだと世界から児童婚がなくなるまでに300年かかると国連は予測しています。

児童婚の大部分は南アジアとサブサハラ・アフリカ地域で行われています。南アジアは世界全体の45%を占める世界で最も児童婚の多い地域です。しかしここ数十年の間で件数は減っており、特にインドで児童婚が大幅に減ったことにより全体数を下げる結果となりました。一方、サブサハラ・アフリカ地域では今も3人に1人の確率で児童婚が行われており、今後も児童婚の増加が見込まれています。

児童婚が行われる背景は様々です。主な理由は貧困と男女の社会的・経済的格差といえますが、結婚に対する固定概念、法律の脆弱性や婚外妊娠に対する不安なども関係しています。これらの要因に加わるのが、各地で起こる紛争の激化、気候変動による災害、新型コロナウイルスの拡大。2020年から2030年の間に予測される児童婚のうち、約1千万件が新型コロナウイルスの影響によるものと考えられています。

産まれてくる子どもは性別を選べません。女の子に生まれたというだけであらゆる苦痛に耐えなければならない現実は、あまりに残酷です。

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