インターネット上で公開されている児童ポルノコンテンツの90%以上が個人によって作成されたものであることが、イギリスの監視団体の調査によって明らかになりました。
調査を行った The Internet Watch Foundation の報告によると、10歳以下の児童を対象にした性的虐待の描写を含むとして同団体が昨年に摘発したウェブページは275,655件。そのうち投稿者本人によって撮影されたものは10万件以上あり、一昨年から66%増加したとのこと。
数の増加自体は捜査が効果的に行われた結果とも言えるため、必ずしも大きな問題ではないと団体は強調します。「摘発数が増えていることは事実です。しかしより多くの児童虐待の画像や動画を見つけることが望ましいとは思いません。私たちの目的はそういったコンテンツを出来るだけ多く見つけて取り下げることだけではないからです。一件も児童ポルノが見つからなくなってこそ、目的を達成したと言えます」
「自作」児童ポルノは近年になってから見られる傾向。「10年前は個人が児童ポルノを撮影して投稿する傾向はありませんでした。今は摘発したコンテンツの92%が自作です。家庭内で児童を性的に虐待する様子を撮影して、児童ポルノサイトに投稿している人たちがいるのです」
個人による児童ポルノの作成と流通に拍車をかけるとして危険視されているのが、Meta が導入を予定するメッセンジャーのエンドツーエンド暗号化です。
エンドツーエンド暗号化はセキュリティ保護対策として導入される予定で、送受信データを発信者と受信者だけが見られるようにするというもの。つまりサービス提供者である Meta を含めて、誰も送信画像や会話内容を見たり聞いたりすることができません。 Meta は2022年に2000万件の児童ポルノ案件を報告していますが、エンドツーエンド暗号化が導入されれば監視は一切できなくなります。
また、Apple は iPhone からクラウドに保存されるファイルから児童ポルノコンテンツを特定する機能を計画していましたが、プライバシーを侵害するとしてユーザーや人権団体から反対を受け、2年前に導入を延期。その後進捗はなく、実質的に計画を撤回したと考えられています。
「然るべき安全対策なしでエンドツーエンド暗号化を導入すれば法律で犯罪者を裁くことが絶望的になる」と、イギリスの公安担当大臣 Tom Tugendhat は懸念を表しています。