マニプール州で何が起きているのか 紛争の背景と現状を解説

今週水曜日、インド北東部マニプール州で暴徒化した市民が少数民族の女性を暴行する動画がインターネット上で拡散されました。

動画の拡散とそれに伴う抗議を受けて、翌日ナレンドラ・モディ首相は声明を発表。マニプール州ではことし5月3日から民族対立による紛争が続いていますが、首相からコメントがあったのは今回が初めてでした。

マニプール州はインド北東、バングラデシュとミャンマーの間に位置する丘陵地帯です。人口の半数をヒンドゥー教徒のメイテイ族、約4割を主にキリスト教徒のクキ族ほか少数民族が占めています。クキ族は少数民族として憲法上の保護を受けており、丘や森などの土地の所有権が与えられています。

紛争の発端はメイテイ族がクキ族と同様の権利を要求し、裁判所がこれを認めたこと。すでに多数派であるメイテイ族の教育・政治・社会的な影響力がさらに強まり、自分たちの土地が買収されることを恐れたクキ族は激しく反発しました。加えて、麻薬戦争や隣接するミャンマーからの不法移民などの問題も起因しています。人口増加に伴う就職難により民兵に志願する若者が増えているとの報道もあります。

5月3日に始まった紛争により現在までに少なくとも130人が死亡、6万人が強制退去。被害者は主にクキ族とされています。冒頭で述べた事件が起きたのは5月4日でしたが、紛争が始まってすぐにインターネット回線が遮断されたため情報が外部に届くまでに時差があったと考えられます。被害者の家族は事件の約2週間後に警察へ届出をしていますが、捜査が動き出したのは動画が拡散された後でした。

被害者のひとりは家族と一緒に村から逃げようとしていたところを暴徒に囲まれたといいます。初めに父親が殺され、そのあと暴行を受け、止めに入った弟が殺されました。その場にいた警官は何もしなかったと、被害者の母親は Al Jazeera 紙のインタビューに答えています。

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