パレスチナのウエストバンク(ヨルダン川西岸地区)で、イスラエル軍兵士及び入植者によるパレスチナ人市民への性暴力と嫌がらせが日常化している。
ノルウェーのNGOが4月20日に発表した調査報告によると、パレスチナ自治区では過去3年間に渡り、イスラエル人からパレスチナ人に対する脱衣の強制、執拗なボディチェック、性的な脅し、嫌がらせが続いている。これらの行為はパレスチナ人を立ち退かせるための計画的かつ組織的な手段だという。同調査が聞き取りをしたパレスチナ人家族の7割は、女性と子供に対する性暴力の恐れが立ち退きの決め手となったと答えている。
被害の対象となるのは主に女性だが、男性や少年、子供も例外ではない。
ウエストバンク中央部の村では2023年にイスラエル人入植者がパレスチナ人居住者に立ち退きを要求、複数のパレスチナ人男性を拘束し、性的な恫喝、暴行、脅迫を行った。
ウエストバンク南部のベツレヘムでは15歳の少年2人がイスラエル軍兵士に暴行、目隠しをされた上で見ぐるみを剥がされた。1人は兵士に尿をかけられ、もう1人は暴行により足を骨折した。
ヨルダンとの国境沿いでは入植者が一家に侵入、家族の前で男性に凄惨な性暴力を加え、女性たちを殴り、子供を恫喝した。
以上は報告に記された例であり、表面化した一部の事案である。イスラム教徒を主とする保守的なパレスチナ社会において、性的な被害を口にすることは大変な屈辱であり、苦痛である。実際には表に出てこない、幾多もの被害があると考えていい。
身体的な暴力に付随する損失もある。報告によれば、強制的に立ち退きをさせられたパレスチナ人女性の87%が収入源をすべて失った。性的嫌がらせの対象にされることを恐れて娘を若くして結婚させたという事例もある。また、立ち退きとそれに伴う経済難により子供の教育機会も失われている。これらの損失は彼らの社会発展に長期的かつ甚大な影響を与えるだろう。イスラエル側が自治区に残るパレスチナ人に対し、計画的に性暴力や性的嫌がらせを行う理由である。
調査を行った団体は報告にて、イスラエルはパレスチナ人に対する暴力行為を禁止して市民に危害を与えないことを明確にするべきと提案するが、期待はできない。2024年に拘留施設でイスラエル人兵士複数名がパレスチナ人の男性を集団強姦した事件は、国際的な非難を浴びたにもかかわらず右派勢力の抗議により全員不起訴となった。自分が一番正しいと思っている相手に対し、何を言っても無駄なのだ。