ハンガリー初の女性大統領「子供は10人産んで」発言に世界が困惑

今週月曜日に開催された男女平等に関する国際会議に超保守派で知られるハンガリーの大統領が登壇、「女性は仕事も出産もするべき」という趣旨の発言をし各国参加者から困惑の声が上がりました。

開会式のパネルディスカッションに登壇したのはハンガリーのカタリン・ノヴァク大統領。

女性のキャリアと出産について問われたノヴァク大統領は、自身がハンガリー初の女性大統領であるとした上で次のように答えました。

ルワンダTV公式Youtubeチャンネルより

「仕事をしながら出産するのは大変でしたが、子供を3人産んだことは懸命な判断でした。娘には自分がやりたいことをやってほしいと思っています。子供が欲しければ10人でも産んでほしいですね。女性はキャリアと出産どちらか一方ではなく、両方を選択するべき。労働市場と家庭の両方に女性が必要なのです」

会議の名称は「Women Deliver 2023 Conference」。米国ニューヨークに拠点を置く団体が2007年から開催しており、女性の人権やジェンダー平等に関する国際会議としては世界最大規模。ルワンダの首都キガリで開催された今回の会議には各国政府閣僚やノーベル賞受賞者らが登壇し、開会式には約6,000人の聴衆が集まりました。

ノヴァク大統領はハンガリー政府家庭省大臣を得て大統領になった人物。超保守派として反中絶・反男女同権主義で知られています。大臣在任時は旧来の家族観に基づいたアグレッシブな少子化対策を主導、過去には「女性が男性と同等の収入を望むべきではない」等と発言したほか、女性や性的マイノリティに対し敵対的な団体との関わりが指摘されています。

2011年に出生率 1.23人を記録したハンガリーでは政府が少子化対策として様々な優遇措置を設けてきました。体外受精を行う医療機関の国営化と治療の無償化。3人以上子供がいる家庭の所得税永久免除。若年夫婦が子供を産むことを前提としたローンの貸与など。3人以上産む場合は日本円にして約400万円が事前に与えられますが、定められた期間内に子供が産まれなかった場合は返済しなければなりません。

こうした政策は女性に子供を産むことを強要しているとして欧州メディアから批判を受けているほか、家族主義的な方針が女性の自由を妨げているという反発や、出産を期待されるプレッシャーに対する不安の声があります。女性が子供を産む、あるいは産まないことを選ぶ権利が叫ばれる中で、国際会議における人選は多くの人に疑問を残したと言えるでしょう。

主催団体である Women Deliver の代表は、ホスト国であるルワンダ政府が開催式の指揮と登壇者の招待を行ったものと説明。「私はノヴァク大統領の意見には賛成できないが、何かをするにあたってはそうした人物も受け入れざるを得ない」と述べています。

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